欧州薬局方(Ph. Eur.)に大麻花が収載することについて


2024/01/16


大麻花(Cannabis flower)は、欧州薬局方 (Ph. Eur.) 追補 11.5 (2024 年 1 月) に掲載され、施行日は 2024 年 7 月 1 日となります。

薬局方とは、各国で定められている医薬品の品質規格書のことです。
大麻花や大麻抽出物モノグラフについては、ドイツ、デンマーク、スイスが先行して収載しています。米国薬局方(USP HMC)にも大麻花のモノグラフ草案が公開され、最終版の発行を待つ段階となっています。

定義
カンナビス・サティバ(Cannabis sativa L.)の雌花序を完全に成熟させ、全体または断片化して乾燥したもの。

規格
高THCタイプ(THC優勢タイプ)    THC≧5% CBD≦1%
THC/CBDタイプ(THC/CBD中間タイプ)THC≧1% CBD≧1%
高CBDタイプ(CBD優勢タイプ)    THC≦1% CBD≧5%

同定
形態学的検査とクロマトグラフィー検査

品質
異物:最大2%まで、種子を含まず、ハーブ薬全体が長さ 1.0 cm 以上の葉を含まないこと。
乾燥減量:最大 12.0%まで
ヒ素:0.2 ppm
カドミウム:0.3ppm
鉛:0.5ppm
水銀:0.1 ppm

マイコトキシン(アフラトキシンPh. Eur. 2.8.18)、殺虫剤(Ph. Eur. 2.8.13) および微生物学的品質(Ph. Eur. 5.1.8 または5.1.4、投与経路に応じて)は、一般的な欧州薬局方(Ph. Eur.) を参照する必要があります。


注意点:欧州薬局方(Ph. Eur.)に大麻花が収載されても、欧州全域でハーブ大麻が医薬品として直ちに流通するわけではありません。EU医薬品制度におけるハーブ医薬品モノグラフへの収載のための科学的データの評価(各国が実施する)が必須となります。その辺りの事情については、次のQ&Aを参照下さい。

大麻由来医薬品およびEU医薬品規制におけるハーブ医薬品モノグラフの範囲に関するQ&A

本Q&Aは、大麻由来成分の製造に携わる関係者がEUの医薬品規制制度について豊富な経験を有していない可能性があることから、EUにおける医薬品の製造販売承認を取得するための規制要件を明確にすること(Q1)、およびEUのハーブ医薬品モノグラフに関するハーブ医薬品委員会(HMPC)の作業について説明すること(Q2、Q3)を目的としている。

質問 1a
EUには、大麻由来の医薬品に関する特定の枠組みがありますか?
質問 1b
大麻由来の活性成分を含む医薬品は、EUでどのように認可されますか?
質問 1c
ハーブ医薬品に特別な規定はありますか?
質問 2a
EUハーブモノグラフとは何ですか?
質問 2b
HMPCはすべての植物由来医薬品についてEUのハーブモノグラフを作成できますか?
質問 2c
カンナビス・フラワー(Cannabis flos)またはその他の大麻由来のハーブ成分およびハーブ調剤に関するEUのハーブモノグラフを作成するためのデータはどのように評価されますか?
質問 2d
カンナビス・フラワーまたはその他の大麻由来のハーブ成分およびハーブ調剤の確立された使用をカバーするEUハーブモノグラフを確立するために、データはどのように評価されますか?
質問 2e
カンナビス・フラワーまたはその他の大麻由来のハーブ成分およびハーブ調剤の伝統的な使用をカバーするEUハーブモノグラフを確立するために、データはどのように評価されますか?
質問 3
HMPCによる評価のために科学的データを提出する方法とその手順は?


<参考>
欧州医薬品庁「大麻由来医薬品の用語と定義の整理」2022年
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=126877

詳しくは、下記資料をダウンロードしてください。


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ダウンロード: LinkIcon 欧州医薬品庁大麻由来医薬品FAQ
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