米国:マリファナ(大麻)のスケジュールIからVへの再分類を勧告した文書が公開


2024/01/22


米国保健福祉省(HHS)の高官は23年8月29日、米国司法省麻薬取締局(DEA)局長宛の書簡を送付し、マリファナ(大麻)を連邦規制物質法(CSA)のスケジュールIIIに再分類するよう要請しました。

情報公開法(FOIA)要求を利用してスケジュール再分類メモの入手を求めていた弁護士マシュー・C・ゾーン氏が24年1月13日にブログにて、23年8月29日付けの252頁の勧告文書を一般公開しました。

252頁のうち、前半の78頁までの「マリファナ(大麻)を規制物質法のスケジュールVに再スケジュールする勧告の根拠」を仮訳しました。後半は、米国保健福祉省次官補室(OASH)によるCAMU(医療用途)評価の報告となります。


規制物質法(CSA)では、薬物のスケジュールを決定する 8 つの要素があります。

1.実際または相対的に乱用される可能性。
2.知られている場合、その薬理学的効果の科学的証拠。
3.薬物またはその他の物質に関する現在の科学的知識の状態。
4.その歴史と現在の乱用パターン。
5.乱用の範囲、期間、重大性。
6.公衆衛生にリスクがある場合、どのようなリスクがあるか。
7.その精神的または生理学的依存の責任。
8.物質がすでに管理されている物質の直接の前駆体であるかどうか。

これらの8つの要素を詳細に検討しており、次の勧告を出しています。


●勧告(本文仮訳の一部を抜粋)

1.マリファナ(大麻)は、乱用の可能性が スケジュール IおよびIIの薬物やその他の物質よりも低い。

・マリファナに対する一般的な反応として、多幸感などの肯定的な主観的反応のほか、知覚変化、鎮静反応、不安反応、精神医学的、社会的、認知的変化、生理的変化などがある。
・NSDUHの疫学的データによると、マリファナは、比較対象とした違法薬物の中で、過去1年および過去1ヵ月ベースで、米国で最も頻繁に乱用されている違法薬物である。
・非医療的使用の有病率が高いにもかかわらず、疫学的指標を総合的に評価すると、マリファナはスケジュールIまたはIIの薬物に比べて深刻な結果をもたらさないことが示唆されている。

2.マリファナ(大麻)は現在、米国で治療における医療使用が認められている。

・実施された州公認プログラムに従って活動する免許を持った医療従事者(HCP)によるマリファナの医療使用が米国で現在広く行われており、そのような医療使用がこれらの州の管轄下で医療行為を規制する各組織によって認められていると結論づけた。
・FDAは、CAMU(医療用途)テストのパート2の検討対象として7つの適応症を選択した。これらの適応症には、病状に関連した食欲不振、不安、てんかん、炎症性腸疾患、吐き気・嘔吐(化学療法によるものなど)、疼痛、心的外傷後ストレス障害などが含まれる。
・入手可能なデータは、米国でマリファナが臨床で使用されている治療用途のいくつかについて、ある程度の信頼できるレベルの科学的裏付けを提供している。

3.マリファナ(大麻)の乱用は、中等度または低度の身体的依存または高度の精神的依存を引き起こす可能性がある。

・大麻離脱症候群は、マリファナを慢性的に多量に使用している人において報告されているが、時々マリファナを使用する人におけるその発症は立証されていない。
・大麻離脱症候群は、焦燥、妄想、発作、さらには死亡といったより深刻な症状を含むこともあるアルコールに関連した離脱症候群に比べると、比較的軽いようである。
・精神依存を生じる人もいるが、深刻な結果をもたらす可能性は低く、マリファナを使用するほとんどの人に高い精神依存は生じないことが示唆される。


●薬物のスケジュールについて

連邦規制物質法(Controlled Substances Act, CSA)は、薬物を5段階に分類しており、現在、マリファナ(大麻)はスケジュールIに分類されています。分類の最終権限は麻薬取締局(DEA)にあります。( )は、今回の文書で比較対象となった薬物です。

スケジュールI:医療目的での使用禁止、一般に認められた安全性がない
        (ヘロイン、マリファナ(大麻))
スケジュールII:医療目的で使用可能だが、厳しい制約が課される
       (フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、コカイン)
スケジュールIII:医療目的で使用可能だが、身体的依存症リスクが低・中程度、心理的依存症リスクが高と認識
        (ケタミン、マリノール(合成THC))
スケジュールIV:医療目的で使用可能だが、身体的依存症リスクがIIIより低いと認識
        (ベンゾジアゼピン、ゾルピデム、トラマドール)

スケジュールV:医療目的で使用可能だが、身体的依存症リスクがIVより低いと認識

対象外:(アルコール、エピディオレックス;承認時はスケジュールXであった)


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ダウンロード: LinkIcon 米国司法省大麻スケジュールV勧告(前半部仮訳)


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ダウンロード: LinkIcon 米国司法省大麻スケジュールV勧告原文英語、全252頁)
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