医療専門家向け、大麻とカンナビノイド(PDQ)最新版仮訳を公表
2025/04/16
PDQ®最新がん情報は、PDQ®編集委員会が検証した最新の研究結果に基づいて更新されている、科学的根拠に基づくがんに関する要約集です。医療専門家向け情報と患者さん向け情報に分かれて掲載されています。
医療専門家向け情報は、専門用語で記載され、豊富に掲載されている最新の研究論文については全てPubMedの抄録にリンクし、更に知識を深めていただく工夫がされています。
大麻とカンナビノイドは、がん患者に対する「統合・代替・補完療法」の1つとして紹介されています。
患者さん向け 大麻とカンナビノイド(PDQ®)日本語版
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000688139&lang=ja
大麻とカンナビノイドに関するエビデンスのまとめ(詳細は本文参照)
カンナビノイド
・いくつかの対照臨床試験が実施されており、これらのメタアナリシスにより、化学療法誘発性の吐き気および嘔吐(N/V)に対するカンナビノイド(ドロナビノールおよびナビロン)の有益な効果がプラセボと比較して支持されている。ドロナビノールおよびナビロンはいずれも、がん患者における化学療法誘発性のN/Vの予防または治療に対して米国食品医薬品局(FDA)により承認されているが、その他の症状管理には承認されていない。
大麻
・がん患者における吸入大麻の使用に関する臨床試験は10件あり、2つのグループに分けられる。1つのグループでは、4つの小規模の研究で制吐作用が評価されたが、それぞれ異なる患者集団と化学療法レジメンについて検討された。1件の研究では効果が認められず、2件目の研究ではプラセボに対して正の効果が認められ、3件目の研究報告では全体的な結果を肯定的または中立的と評価するのに十分な情報が得られなかった。その結果、化学療法誘発性のN/Vに対する大麻の使用について総合的なエビデンスレベルの評価を行うにはデータが不十分である。明らかに、他のがん関連またはがん治療に関連した症状に対する吸入大麻の使用に関する対照臨床試験は発表されていない。
・一定濃度のカンナビノイド成分を含む大麻植物エキスの経口投与を評価する試験が、カナダや、がん性疼痛に対する承認を発行しているヨーロッパのいくつかの国の医薬品規制当局で増えている。
・現時点では、がんに関連した症状、がん治療に関連した症状、がん治療に関連した副作用の治療法として大麻の吸入を推奨するには十分なエビデンスがない。
医療専門家向け 大麻とカンナビノイド(PDQ®)引用先はこちら
PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board.
PDQ Cannabis and Cannabinoids. Bethesda, MD: National Cancer Institute.
Updated <02/21/2025>.
Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/hp/cannabis-pdq
Accessed <31/03/2025>. [PMID: 26389198]
本学会は、大麻草およびカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。
なお、本学会が提供するすべての翻訳情報の内容は、学会としての意見表明ではありません。
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ダウンロード:医療従事者向け 大麻とカンナビノイド(PDQ)
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聖マリアンナ医科大学脳神経外科学講座内
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